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きょうどうせいかつ。
第14章 なんていったら いいのかな。
元来、魔族というものは純粋な生き物らしい。純粋な悪か、純粋な善か、両極端な一族らしいのだ。なので、人間の心が黒く染まってしまった場合、同じように黒になるのだが、すべての人間が黒になってしまったわけではない。なぜなら、ブレットたちのいう人間が、上半球だけなのだから、もう半分の、下半球の人たちは、そこまで血の気が多いわけではないのだ。
つまり、半々だということらしい。
しかも、魔族というものは、見ている人によっても性格が変わってくるらしい。干渉する相手が近ければ近いほど、その人物が与える影響も強い、だそうだ。
なので、注意するのは、ブレットたち人間だった。
思わずクリスと目を合わせる。
どうやらクリスも困惑しているようだ。ベンジャミンの話を聞いて、肩を竦めてみせた。
ブレットも同意見だ。
精神状態を保つというのは、抽象的すぎてどうしたらいいのか分からない。
まあ、よほどのことがない限り大丈夫らしいのだが、万が一のこともある。
取りあえず、一人で行動せずに、絶対に誰かと行動して、何か精神が不安定になったら思いっきり殴る、という意見に落ち着いた。
何故か分からないが、イザベラがやたらにやにやしていた。
何故だろう。
それにしても──。
もしも精神が乱れてしまったら、一体どうなるというのだろうか。
魔族に対しての不安は拭えないが、意を決して魔界へと侵入した。
人間だとバレないように、心がけながら。
魔界に入って最初に感じたのは、心地いいさわやかな風だった。
そして、ゆっくり空気を吸う。人間界よりも美味しかった。
ブレットのイメージでは、黒くて何故かマグマが凝固したように、地面がうねうねとしていて、湿気の多い世界だと思っていたのだが、目を開けてみるとそこは草原だった。
芝が青く、艶やかで美しい。
よく手入れをされている芝だった。