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きょうどうせいかつ。
第2章 しょくじかいで かんがえる。
「ふう……」
スプーンをテーブルに置き、ふと顔をあげてみると、いつの間にやら魔王が姫の隣の席に座っていた。
姫は勇者の正面に座っているため、目が合ってしまった。
少し、頬を赤く染める勇者。
「……ごちそうさまでした」
姫は、勇者のその台詞を聞いて、にっこり微笑んだ。
姫や魔王は、勇者よりも先に食べ終わっていたのか、楽しそうに会話をしている。そんな二人を、羨ましそうに見つめていた勇者の目線に気づいたのか、姫は、魔王との会話を終わらせ、勇者のもとまで歩いていき、食器を片付け始めた。
「あ、私がやりますよ」
と、勇者は申し出たのだが、あっさり断られてしまった。
──かなり格好悪い。情けない。
勇者は自己嫌悪に陥ったが、今の状況を確認したとたん、その想いは消えてしまった。
魔王と、二人っきり。
魔王は相変わらず人間の格好をしており、今は目を閉じて、何かを考えているようだ。
これは、チャンスじゃ……。
いやいやいや、よく考えろ、俺! このタイミングで魔王を倒したとしても、姫が悲しむだけだぞ! 早まるな!
しかし──。
完全にこの魔王を信じたわけじゃないからな。
「お待たせしました──って、お二人、何だか空気がピリピリしているのですけれど……」
「き、気のせいです! 」
勇者が否定すると、魔王もこくりこくりと頷いていた。
姫は納得したのか、そうですかと呟いて、魔王の隣に座った。