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きょうどうせいかつ。
第2章 しょくじかいで かんがえる。
もしかして、魔王も俺と同じことを考えていたのか? いや、まさかな……。
──きっと、気のせいだろう。
勇者は、先ほどの魔王の対応に少し疑問を抱いたが、気にしないことにした。
「さて、それでは、勇者様。折り入って、私からお願いがあります! 」
「はい? 何でしょう」
姫は、待ってましたとばかりに嬉しそうな顔をして、勇者の目をじっと見つめた。
「な、何ですか? 」
「あの、大変言いにくいのですが、というのは、自分からこのようなことを、申し出るのはなかなかに恥ずかしいと言いましょうか……。しかしながら、勇者様のお力をお借りできなければ、私、もうどうしたらいいのか……」
モゴモゴと呟いている姫のフレーズの中にあった、『勇者様のお力をお借りできなければ、私、もうどうしたらいいのか』に反応して、勇者はすこし魔王に対して優越感を感じた。
「ふふ……。私にできることなら、何でもいたしましょう」
「本当ですか!? 」
「はい! 私は姫様をお助けするために、ここまでやったきたのですから。姫様の頼みとあらば何でも──」
「でしたら、魔王様と国の者たちが仲直りするよう、説得なさってくださいませ! 」
「は?」
勇者はぽかんと口を開けて、先ほど、何でもすると言ってしまったことを後悔した。
「ですから、私の国と、魔族たちの抗争を、止めていただきたいのです」