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きょうどうせいかつ。
第17章 すこしはじぶんで かんがえたら?

ハリーが仲間(というよりは強制的に行動をともにしているだけなのだが)になったことにより、何かがプラスになったかと聞かれたら、特に何も、としか答えることが出来ないだろう。
そもそも、ルニア族は数少ない少数派でもあるので、魔物を説得する上で何か役に立てたわけでもなく、魔力も使えない、(それだけでもすごいのだが)喋る動物のように感じた。

しかし、ブレットがそんな風にハリーのことを評価していると、イザベラから激が飛んだ。

「これだからブレットって嫌だわ──はっきり言って物以下ね。最低……。貴方がそのような人を侮辱するような考え方でいるからこの世界は変わらないのよ。全く、考えを改めなさい。それとも、貴方のように物以下──いいえ、ゴミ以下の男には分からないかしら──」

とかなんとか、酷い言いようだった。

確かに、ブレットも悪いと感じているのだが、そこで反省はするものの、その反省を活かさないところが、ブレットのブレットたる所以である。その反省だけして教訓を学ばなかったせいで、本来なら魔王の元まで半年ほどで到着するはずだった旅を一年半に伸ばしてしまったのだろう。

──とはいえ。
ブレットは魔物に対する尊敬の念が抱けずにいる。
恨んではいないのだが、信頼は出来ない。
警戒心を解いているわけではないのだ。

そんなこんなで昨日の今日。
三人と一匹は足早に村を去った。
他四匹は、誰にも口外しないことを誓わせ、森に還した。
本当に文字通り、森に還した。

森にお帰り、みたいな。

そもそも、そんなにたくさんの動物を連れて歩いたら、目立って仕方ない。
いくら魔界とはいえども、浮いてしまう。

村を去った理由は、この村にいるほとんどの人が、反人間派だったとハリーが教えてくれたからで、それを聞いたイザベラがそれはもう、嬉しそうな笑顔で──

「だったら、全員拘束すればいいことじゃない!」

と言ったため、それはあまりにも危険だし、人間に対する悪印象が増すので、イザベラが変な気を起こす前に立ち去ったのだ。
逃げたと思われてもいい。
イザベラが村を崩壊させるよりも、断然ましだ。



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