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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
「はっははは……。魔族と人間が共存……。愉快だ!そのような世迷い言を口にする輩がいるとはな……」
「あーあ、笑われちゃったじゃない。恥ずかしー」
「何を呑気に言ってるんだ!」
「だって私、関係ないもの」
「お前のせいだろ!」
「そもそも、ブレットが割り込んでくるのが悪いわ」
──ぐうの音もでないとはまさにこのことだった。
暫くずっと笑い続けていたハリーは、ようやく笑い終え、馬鹿にするような笑みを浮かべた。
それにしても、狼が、しかもリアル狼が大爆笑している姿は何か思わせるものがあり、なんというか、洒落にならないくらい恥ずかしかった。
だって、狼に笑われてるんだぜ?
「仕方ないわね……。ブレット、あと、そこで笑いを噛み殺しているベンジャミン、部屋から出ていって」
「は?」
「だから、月並みなことを言うと、『ここは私に任せて先に行け』と言っているの」
まあ、先といっても部屋の外なのだけれどね、と付け足す。
仕方ないので、ブレットとベンジャミンは黙って外に出た。
なんというか、未だに部屋の中で何が行われたのか分からないのだが、悪魔の断末魔のような声が聞こえてきたかと思うと、急に静かになり、それから、先ほどのものが苦笑だったと思うくらいの大爆笑が中から聞こえた。
何が行われているのか、皆目見当もつかない。
「入っていいわよ」
恐ろしいくらい楽しそうな笑顔を浮かべたイザベラが、部屋の中から出てきて、言われた通りに部屋の中へ入ると、そこにはすっかりのびてしまっている、五匹の動物がいた。
「協力してくれるって!」
その時のイザベラの笑顔は、あたかも三億の宝籤にあたったときのような顔をしていた。