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きょうどうせいかつ。
第3章 ゆうしゃはきょうも ねむれない。
勇者は、食事を終えて、一息つき、部屋に戻って、ベッドにごろんと寝転がり、手を天井に伸ばして、これからの事を考えていた。
勇者は、個人的に、美味しい料理を食べさせてくれた人を、恨む事はおろか、殺す事などできない性格だった。
脳裏に浮かぶのは、姫の笑顔と、何を考えているのか分からない、魔王のうつむいた姿。
自分が間違っているのか、それとも──。
そんな事を何十回と繰り返し考えていた。
今思えば、退治しにきた相手と食事を、しかもその相手が作った食事をよく食べれたと思う。
どうしてか、警戒心がいつの間にか解けてしまっていたのだ。
それがあの姫様の力だとしたら、あの姫様は確実に大物になるだろう。
考えても埒があかない。悔しいが、あまり頭の良くない勇者は、考える事に疲れてしまった。
とりあえず、今日はもう寝る。
「はあ……」
正直、少しだけ魔王に嫉妬していた。