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きょうどうせいかつ。
第4章 ひめはまおうに ささやいた。
「いいえ。それはもう既に起こっております。そうではなくて、共存するという事は、この星にある食物、財産、土地などを魔族にも分けるという事。つまり、これまでの倍近く人口が増え、財が裕福な者へと流れるようになり、貧富の差が更に激しくなる、という事です」
「しかし、それは共存関係にもよるでしょう? 」
「はい。姫様は、どのような関係を望んでおられるのですか?」
姫は、少し考えるように、手を顎に持っていった。
「貿易関係、でしょうか……」
「と、言いますと? 」
「はい。お互いの土地、財産には干渉せず、両者の欲する生産品を交換するのです。魔族の嗜好品や工業品などを、私たちは別のもので交換する。物々交換のようなものです。そうすれば、お金が発生する事なく共存できます」
勇者は、姫の解答を聞き、少し困惑した。
あまりにも夢物語なような気がしたからだ。
「……物々交換はすぐにできなくなりますよ。物々交換がなぜ廃止になり、貨幣が生まれたか、ご存知でしょう? 」
「そうですよね……。分かっています」
姫は少し悲しそうな顔をした。
勇者は既に、姫に協力したいと思うようになっていた。