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きょうどうせいかつ。
第4章 ひめはまおうに ささやいた。
「それでは勇者様、本題に入りましょう」
朝食を済まし、部屋に戻った勇者を、姫は話があると呼び出し、昨日、一番最初に入った部屋へ案内された。どうやら、他の部屋はあまり使用していないらしく、その部屋しか綺麗なところがないとの事だった。この城に住んでいる住人は、勇者を含め、三人しかいないらしく、他の人物を見かける事はなかった。
勇者と姫は、昨日と同じ位置に座り、魔王は、勇者と姫の真ん中の席に座った。
「私は、魔族と人間は共存すべきだと思っているのです。というのも、魔王様のお話では、魔族と人間はそもそも共存関係であったらしいのです」
「しかしながら、それは何百年も前の話でしょう? 」
「確かに、それは、私たち人間がまだ文字を開発していない時代の話です。ですが、その時代には、私たちが生活している現代よりも、戦や領土問題などが多かったと聞いています。なので、そのような殺伐とした時代に、魔族と人間が共存できたのですから、この時代でも、可能ではないかと考えております」
姫の目は、まっすぐ勇者を見据えている。
勇者も、昨日より落ち着いて姫の話を聞いていた。
「その時代の人間よりも、私たちは傲慢でございます。生活が豊かになったという事は、傲慢になることと同じです。皆、財や土地、知識などを貪欲に欲しています。魔族と共存する事により、確かに知識が増えるやも知れませんが、また仲違いするかもしれません」
「勇者様は、魔族の方達と共存する事によって、人が魔界さえも侵略しかねないとおっしゃっているのですか? 」