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きょうどうせいかつ。
第5章 かもくなものは あわてない。
「教えてやるよ。お前のその感情は逆恨みっていうんだ。自分に対する嫌悪感や、罪悪感を、自分に向けたくなくて、責任転嫁するために俺を怒っているんだよ。
分かったか?お前はそんな薄っぺらな存在だ。
そんな奴が姫に愛されていいのか?
あんな純粋な姫に?
……いいわけないよな
だったら俺が──
殺してやるよ」
勇者は一気に魔王へ駆け出し、短刀を魔王の腕へ投げた。
皮膚が裂ける音がして、魔王の腕にめり込む。
魔王は勇者に向かって剣を振るおうとしたが一歩遅かった。
勇者は魔王の剣を避け、素早い動きで魔王の傍らに潜り込み──
隠し持っていたもう一つのナイフで、魔王の首を斬りつけた。
しかし、首筋に届くか届かないかのところで、ぴたっとナイフが止まる。
まるで、魔王の首を覆う、分厚い空気の壁が存在しているかのように、ナイフは動かなくなってしまった。
「なっ……!」
──魔力か!
勇者は瞬時に理解したが、もう既に遅かった──。