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きょうどうせいかつ。
第5章 かもくなものは あわてない。
「はっ……。言っておくが、俺はお前を一度も信用しちゃいねえ。残念ながら俺は育ちが悪くてね……。姫みたいにお前を許せねえんだよ」
勇者の独白は続く。
「よくも王女を殺してくれたな……。俺はお前を許さない。俺から大切なものを奪ったお前を許さない。尊敬していた人を奪った、お前たち魔族を許さない……!」
勇者はちらっと姫の様子を見た。
すやすやと眠っている。
「いろんなところを見てきたよ……。そんな中、魔物に家族を殺されちまった小僧と知り合ってな──。泣きながら頼まれたよ。『お父さんとお母さんの敵をとってくれ』って」
「…………」
「そんな奴ばっかりだったよ。みんな、どこか悲しそうで、寂しそうで……。俺はそんな人たちを助けてやりたいって思ったよ」
「魔王。お前に何の恨みがある……? 姫を泣かせた事か? しかし、姫にはいずれ真実を伝えるつもりだった。確かに、姫には悪い事をしたと思っているよ。だが、姫を泣かせたきっかけは誰だ? 魔王、お前じゃないのか?」
「…………」