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きょうどうせいかつ。
第11章 ひゃっかじてんは かんがえた。
朝、太陽はもう上り、空がだんだんと青くなってきた時刻に、ブレットは起床した。
久しぶりといっていいほど、ぐっすりと睡眠をとった彼は、服を着て部屋の外へ出た。
これから生活する上で、必要不可欠になるだろうからと、イザベラが魔力を使っていろんなものを出してくれた。
出してくれた、という表現がぴったりだった。
魔力があればこんなことも出来るのかと、ビックリしたくらいだ。
それはともかく、空腹を覚えたブレットは、昨日、一昨日と食事をしていた部屋を過ぎ、一階へ向かった。なんでも、二階の方は本来応接間として使われていたらしく、一階には食堂があるらしい。それだけ聞くと何だか寮のようだが、事実、たくさんの人物と共同生活をしているので、そういってしまっても間違いではないだろう。
一階にはほぼ全員が集まっていた。キャメロンとダミアンがいなかったのだが、それ以外の、ブレットが初めて見るものもいた。
「おはようー」
朝から気さくな声をあげたのはクリスだった。どうやらもう食事を済ませたらしく、クリスの前には空になった皿がおいてあった。
「おっはようございますー」
これはベンジャミン。
「遅かったわね」
ついでイザベラが挨拶した。
「おはよう」
そんな彼らの様子を観察しながら、クリスの隣に座った。
「おはようございます。昨日は顔色が悪かったですけれど、今日はお元気そうで安心しました」
そういって話しかけてきたのは、ブレットの知っている人物の誰でもなかった。
栗色の髪に、少し癖毛なショートヘアー。白い顔にはところどころそばかすがあり、灰みがかった緑色の目は、キラキラと澄んでいる。エプロンドレスを身につけ、スカートをつまみ、ちょこんとお辞儀するこの女の子は、一体誰なのだろうか。
「あなたのことは存じ上げております。サラと申します。〇七番、心理学を担当させていただいております」
「えと……」
「サラー。それじゃあ分からないだろう?」
デュークの相手をしていたベンジャミンが、こちらに気づき、とてとてと近づいてきた。
「ベンジャミンは黙っていてよ。今、私がご挨拶しているの」
「いや、それはいいんだけどさ、ブレットさんは百科事典のこと知らないんだ」