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きょうどうせいかつ。
第12章 それができたら くろうはしない。
時に平穏というものは恐ろしく、最初は警戒心を抱いていた人々も、何も起こらない平和な日々を送っているうちに、いつの間にか魔族のことなど気にしなくなっていた。待機していたエクソシストたちも、それだけでは生活ができないため、副業として様々な商業に手を出していた。
そして、その副業が本業に変わり、祓魔術を記憶の片隅においていた頃、ある事件は起きた。
人々が、え?魔族なんていたっけ?くらいの認識になっていたときだった。
大陸上にある教会という教会が燃やされたのだ。
人々の危機感は一気に高まり、対魔族の警備が厳重になった。
エクソシストたちは、自分が何もできなかったことを深く後悔した。
魔族の仕業に違いない。
魔族が人間を脅すために、教会を燃やしたのだ。
皆の考えることは同じだった。
誰一人、人間の仕業かもしれないと思わなかった。
すべては魔族が行った大罪。
人が人を襲うなど、考えられなかった。
そんな人々の考えを確信に変えたのは、それから約一年後のことだった。
中央に位置している国の姫がさらわれたのだ。