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きょうどうせいかつ。
第12章 それができたら くろうはしない。
姫がいなくなった翌日、魔王が姫をさらっていったところを見たという男がいた。
非常に醜い姿をしていて、泣き叫ぶ姫をさらっていったと。
使用人の男は証言した。

そして、そのころから、魔族に対する迫害が始まった。

疑心暗鬼になった人々が行ったことは、簡単にいうと魔女狩りだった。
魔力を持っていると疑われた人を裁判にかけ、死刑にしていった。

皆の認識が人から魔族に変わったときの、惨たらしさは、表現しがたいものがあった。

裁判にかけられたものの身体には、見るも無惨な傷跡が残っており、しかもその傷跡は、服で隠れる位置ばかりにある。顔は痩せ細って土色になっていた。迫害が始まって五日も経たず、自害してしまう人の方が多いくらいだ。

裁判をかけられたものに、何も権利はない。
奴隷以下の生活を虐げられた。
何よりも苦痛なのは、人々から浴びせられる、憎悪の感情だ。
その感情は精神を蝕み、人を衰弱させてしまうのだ。

姫がさらわれて半年。
魔族と思われる、醜い生物が大陸にやってくるようになった。
皆の関心はそちらへいき、裁判の存在はなかったことになった。

男たちは森や谷で見られたという、魔物を狩りにいく毎日。
姫は一向に帰ってこない。

そこで、王が考えたことは、魔王退治のため、腕の立つ勇者を派遣することだった。

勇者は人々の希望を背負って、中央に位置する国を出発した。

そして時は現在に戻る──。

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