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きょうどうせいかつ。
第12章 それができたら くろうはしない。
「そんな……」

ブレットは困惑した。
百科事典が語った母国の歴史があまりにも無惨だったからだ。

朝食を食べ終わり、二階の会議室(本当は普通の部屋なのだが、昨日話をしていた部屋、というと若干長いので、会議室と記述しておく)に集まり、今の現状を話し合っていた。
イザベラの代わりに、百科事典の二人が説明をしている。

「お分かりかと思いますが、裁判が行われていた時点で、私たち百科事典以外の魔族は侵入しておりません。また百科事典の誰一人と裁判にかけられたものはいませんでした。人間の業とは恐ろしいもので、魔物だと断言して人間を迫害していたのです」

サラは、時折悲しげな表情をしながらそう説明した。

「魔物がこちら側に来たのは、イザベラさんがさらわれた、つまり、ここに来た半年後の話です。そしてその際、人間を襲う目的は全くなく、いきなり奇襲攻撃をかけられ、それに対抗するため、魔力を使用したようです。それが戦いとなり、今のような状況、抗争になったんすよ」

「魔物の目的は本来、何処かへ行ってしまった魔王様の奪還でした。しかしながら、そのようなことになってしまい、大変人間を憎んでいます。このままでは、いつ奇襲をしかけ、大陸を滅ぼすとも分かりません。私たちの仲間が今現在、交渉しておりますが、それもいつまで続くやら……」

「□□□□□□□□□□」

「確かに、ダミアンさんが何もしなければ、このようなことにはなりませんでしたが──謝らないでください。今の目的は、共存関係になることでしょう?そのために全力を尽くしましょうよ」

「お分かりになりまして?勇者様?」

イザベラがにっこり微笑み、ブレットをじっと見た。
少し怒っているようだ。

「私が国に帰ったところで何になるというのです。私が国に戻れば、民衆はこちらを攻撃してくるやもしれない。そうしたら、ダミアンが一番危険な状態になる。それに──大陸の下半球に魔界があるなんて大嘘。全くのホラ話です。旅をしてきて分かったでしょう?あなたの旅は、下半球を半分ほど回ってきたのだから」

「…………」

「恐らく、クリスと同じなら、まず最初に川を下って海に出たでしょう?そして、まっすぐに魔界を目指した。だが魔界なんてなかった。自分の住んでいる世界と同じものがあった」

「────っ」
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