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共犯者の微笑
第1章 読み切り短編
それからつけ合せのきゅうりのお新香を指にとり、あたしのお口の前にかざす。
あたしは骨をお皿に戻し、彼の指ごと、きゅうりを口の中に入れる。指と、きゅうりをいっしょに、お口の中で舌で弄(もてあそ)び、脂にまみれた彼の指の味と、さっぱりした冷たいきゅうりを同時に味わう。
彼がニヤリと笑う。
あたしも微笑を返す。
もの凄くうるさい店の中で、あたしたちの席だけ、言葉もなく、官能の霧に包まれちゃったみたい。あたしたちは、まるで共犯者のように、イケナイ笑顔を交し合った。
きっと今日も、素敵なセックスができるに違いない、とその時あたしは思った。
ずっとなんていわない。いまだけでいいから。
あたしの心からの恋人でいて。
ダーリン。
大好き。
〈了〉