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過去恋
第32章 暖人との復縁
 その頃、暖人とまた連絡を取っていた。暖人から新しい彼女と別れたといって、相談を受けていたからだ。

 私は泣きながら暖人に電話をした。

「ゆら、どうした?」

 電話の向こう側の暖人は泣きじゃくる私に困惑気味だ。

「別れたっ。振られたの。まただよ。私は幸せになっちゃいけないの!?」

「そんなことないよ。ゆらは幸せになっていいんだよ」

「だって、だって……」

「もう戻って来い。ゆらは俺の隣にいたらいい」

「裏切るかもしれない。忘れられないかもしれない。それでもいいの?」

「それでもいいから俺の傍にいろ」

「分かった」

 私は暖人と寄りを戻した。この時、私は暖人に救われた。

 戻る場所がある。帰る場所がある。それは、なんとあたたかなことなのだろう。幸せなことなのだろう。

 高校二年生の梅雨。暖人と私はまた結ばれて、それから一年を東京と兵庫の遠距離恋愛をすることになった。

 だけど一度も会うこともなく、二人は切り裂かれた。否、自ら切り裂いた。

二度あることは三度……なかった。本当の切り裂くことの出来ない運命に出逢ってしまったから。
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