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さくらホテル2012号室
第17章 傷心旅行

ひとりぼっちでロビーを横切り、チェックインをする。ひとりぼっちでエレベーターに入り、二階に着く。踏み心地の良い緋色の絨毯を、背筋を伸ばして歩く。
2012号室。
木星のドアに金文字でそう書かれた場所に、わたしは、佇んだ。
ロビーで受け取ったカードキィをプレートに翳す。
カチリ、とロックが解除させる音がする。
わたしは部屋に入った。
人気ない、音のない、いつもの2012号室。
レースのカーテンの向こうには、冬支度を始めた山肌が見えている。
まだ、あの桜の樹が鮮やかな花をつけるまで、季節を待たなくてはならない。
わたしはコートを脱ぎ、ジャケットをとった。
スカートのホックを外してそれを取り去り、ブラウスのボタンを外していった。
脱いだ服を丁寧にたたんで、ライティングテーブルに置いてゆく。
スリップも脱いで、ブラジャーとストッキングを取り去る。

