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さくらホテル2012号室
第5章 それが本音ですね?
「差し出がましいことだとは思いますが、村沢さんは本来、もっとこのセミナーを楽しまれてしかるべき人だと思いますよ」
その話をしたのは、セミナー終了後の喫茶店でだった。
先生はコーヒーを、わたしは紅茶を飲みながら、後期の講義についての打ち合わせをしていた。思いのほか好評であった前期を受けて、後期をどのような形態で展開してゆくかを、わたしたちは話し合っていた。
公共施設のセミナーらしく、児童文学や古典をテキストにすべきだというわたしと、参加者の反応が良かった現代文学を使いたいという先生。