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さくらホテル2012号室
第6章 先生の指


先生の指は襟足から背骨のラインに沿って、ゆっくりと背中を這ってゆく。背骨の凹凸のひとつひとつを確かめるように撫で、肩甲骨のエッジに触れる。
まるでマッサージのようだが、何故か身体が反応し始める。先生の指は、背中の皮膚をゆったりと行き来する。ふっくらとして少し冷えた指に、わずかに熱がこもるように。


そしてわたしもまた、性感が高まってくる。


左右の五指が、やがて、腰に届く。
腰は、快楽の源だ。性器や乳房は性感帯かもしれないが、腰の奥がそのすべての源となっていると思う。
先生の指がわたしの腰のくびれをつかむ。そして、撫でる。


あぁ…。
たまらない。


左右の親指が背骨の脇を抑え、残りの指が腰の肌をソフトに滑るだけで、震えるような快感がさざ波のように全身に広がってゆく。
「先生…」
うわ言のようにそう言ったまま、二の句が継げなくなる。
「自分の身体の声に耳を澄ませなさい」先生はおだやかにそう言う。
性器からとめどなく愛液が溢れてくるのがわかる。


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