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さくらホテル2012号室
第11章 月のない夜

もちろん周りの誰にもわたしがそんなことをしているなんて、悟られることはなかったけれど、わたしは密かに混乱し、戸惑っていた。
自分が自分でなくなるような。
さくらホテルでの自分を受け入れることができなくなるような。
かといって、先生との関係をキッチリ断つことなど、考えもしなかった。
身体と心を、あのお部屋でいったんバラバラにされ、そして最後はそこに調和が訪れる。
ベッドのなかで千々に乱れたわたしは、遠い絶頂の果てにもう一度ひとつになり、そして心穏やかに帰途の特急電車に乗る。

