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紅蓮の月~ゆめや~
第1章 プロローグ
プロローグ
小柄な身体を精一杯伸び上がるようにして空を振り仰ぐ。頭上には涯(はて)のない蒼空がひろがっている。まるで湖のようにどこまでも晴れ渡った空。
あまりも今の自分の心と裏腹なような気がして、実幸(みゆき)の口から無意識の中に小さな溜め息が落ちた。向坂(こうさか)実幸、私立高校一年、彼氏いない歴四十分と三十秒。つまり、実幸はたった今、中学時代から四年間付き合った男の子にフラレたばかりだ。何故、自分がフラレることになったのか、実幸は今もってその理由が判らない。強士(つよし)に言わせれば、
―俺たち、何か狎(な)れ合ってない?
ということなのだそうだ。彼の言う「狎れ合う」というのは、つまるところ、付き合っている中(うち)に互いの「好き」という気持ちが次第に色褪せていって、単なる惰性だけで離れられないでいる―ということらしい。
小柄な身体を精一杯伸び上がるようにして空を振り仰ぐ。頭上には涯(はて)のない蒼空がひろがっている。まるで湖のようにどこまでも晴れ渡った空。
あまりも今の自分の心と裏腹なような気がして、実幸(みゆき)の口から無意識の中に小さな溜め息が落ちた。向坂(こうさか)実幸、私立高校一年、彼氏いない歴四十分と三十秒。つまり、実幸はたった今、中学時代から四年間付き合った男の子にフラレたばかりだ。何故、自分がフラレることになったのか、実幸は今もってその理由が判らない。強士(つよし)に言わせれば、
―俺たち、何か狎(な)れ合ってない?
ということなのだそうだ。彼の言う「狎れ合う」というのは、つまるところ、付き合っている中(うち)に互いの「好き」という気持ちが次第に色褪せていって、単なる惰性だけで離れられないでいる―ということらしい。