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紅蓮の月~ゆめや~
第8章 第二話 【紅蓮の花】 エピローグ
もっと長い時間が経過したように思っていたけれど、実際にはほんの短い間のことだったというわけだ。
「日々の暮らしに倦んだら、また、おいでなさいませ。ここは夢を売る店。あなたが来たいときにはいつでも歓んでお迎えしますよ。お代なんて要りません。私の役目は、ここにおいでになった方に『夢』を見て頂くことですから」
美しい女主人の謎めいた微笑に送り出され、花凛は「ゆめや」を出た。
ガラス戸を開けて一歩外へ出た刹那、花凛は愕いて空を見上げた。雨はいつしか雪に変わっていた。花凛の眼裏に一瞬、燃えるように紅い花が蘇ったが、その禍々しいほどに鮮やかな花はすぐに消えた。だが、燃え立つ焔を思わせる紅色だけはしばらく残像となって花凛の意識の片隅に消え残っていた。
「日々の暮らしに倦んだら、また、おいでなさいませ。ここは夢を売る店。あなたが来たいときにはいつでも歓んでお迎えしますよ。お代なんて要りません。私の役目は、ここにおいでになった方に『夢』を見て頂くことですから」
美しい女主人の謎めいた微笑に送り出され、花凛は「ゆめや」を出た。
ガラス戸を開けて一歩外へ出た刹那、花凛は愕いて空を見上げた。雨はいつしか雪に変わっていた。花凛の眼裏に一瞬、燃えるように紅い花が蘇ったが、その禍々しいほどに鮮やかな花はすぐに消えた。だが、燃え立つ焔を思わせる紅色だけはしばらく残像となって花凛の意識の片隅に消え残っていた。