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紅蓮の月~ゆめや~
第11章 第三話 【流星】 二 
「痛ッ」
 少々引きつった鏡の中の自分の顔を見ながら思わず小さな声を洩らすと、女房が狼狽えた。
「申し訳ございませぬ」
「良いのよ、それよりも、問題とは何?」
 美耶子が問うと、女房は声を潜めた。
「お殿様がこのお屋敷を出た次にお立ち寄りになられたのが、彼(か)のお方のお住まいだと―」
 女房の台詞は最後まで美耶子の耳に入らなかった。最早、何も考えられない。
 殿があの女の許に―?
 昨日、私と喧嘩をした後であの女に逢い、そして―。
 その続きに想いを巡らせて、美耶子は絶望的な気分になった。
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