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紅蓮の月~ゆめや~
第17章 -すべての終わりに- 
―すべての終わりに―

 実幸(みゆき)は降り積もった雪の上を歩いていた。
 あの不思議な店―小さな町外れの古着屋「ゆめや」を訪れて、既に三年が経とうとしていた。現在、実幸は地元の大学に進み、英米文学を専攻している。将来は通訳になって、世界中を股にかけて活躍するというのが目下の目標であり夢だ。
 三年前、彼氏に突然フラレて半ば自棄(やけ)でバスに乗って辿り着いた先がこの小さな町の古着屋「ゆめや」だった。あの日、「ゆめや」で不思議な「夢」を見た実幸は、店を出るときには、何故か心が軽くなっていた。帰りのバスに揺られながら、彼氏にフラレた憂さや哀しみで淀んでいた心が意外に落ち着いているのを知り、実幸は自分でも何故なのかと不思議に思ったものだ。
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