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紅蓮の月~ゆめや~
第3章 紅蓮の月 二
殺されるなら、見苦しく騒ぎ立てたりせず潔く死にたいと帰蝶は思った。
張りつめた緊張が二人を包む。
最初にそれを破ったのは信長だった。
「そんなに儂が殺したいか?」
帰蝶が戸惑っていると、信長がニヤリと皮肉げに嗤った。見る者の心を凍らせ、震え上がらせるような酷薄な笑いだ。
しかし、次の信長の行動は実に意外だった。
信長はあろうことか、一度は取り上げた懐剣を帰蝶に返してよこしたのだ。
しかも、刃を自分自身に向けたままの態勢で!!
「ならば、ひと思いに殺すが良かろう」
信長は何でもないことのように言い放った。
「―?」
帰蝶は愕きに言葉を失った。何という大胆なことをする男なのだろう。
張りつめた緊張が二人を包む。
最初にそれを破ったのは信長だった。
「そんなに儂が殺したいか?」
帰蝶が戸惑っていると、信長がニヤリと皮肉げに嗤った。見る者の心を凍らせ、震え上がらせるような酷薄な笑いだ。
しかし、次の信長の行動は実に意外だった。
信長はあろうことか、一度は取り上げた懐剣を帰蝶に返してよこしたのだ。
しかも、刃を自分自身に向けたままの態勢で!!
「ならば、ひと思いに殺すが良かろう」
信長は何でもないことのように言い放った。
「―?」
帰蝶は愕きに言葉を失った。何という大胆なことをする男なのだろう。