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おんな小早川秀秋
第2章 小早川隆景という男
そしてその言葉通り、秀俊の代わりに受け答えするのは山口、頼勝、正成の内の誰かである。この武士には、酒のせいか顔が僅かに赤くなっている頼勝が答えた。
「しかし、まだ夫婦共に夜を過ごすのは早いですぞ。秀俊様はまだ十三、世継ぎはもう少し年を取ってからですな」
「いやいや、それぐらいの年になれば、もう立派な男でしょう。頼勝殿の知らぬ内に……なんて事態もあり得ますぞ」
なんとも下世話な話題だが、頼勝が豪快に笑い飛ばせばすぐに流れてしまう。あきはあまり花嫁を見つめてはならないのかと反省しながらも、眩しい白に惹かれずにはいられなかった。
入れ替わり立ち替わり武士が祝いを述べ、宴は連日続く。だがそれも静まり返った夜には、隆景と山口達による話し合いも続いていた。
「それで、今後の領地についてですが」
政に関する話など、本来あきが口を出せるものではない。だが隆景は、必ずあきも山口達と共に呼び出し、隣に座らせた。それは、夫婦となった男女が床を共にしない不自然から目を逸らすためでもある。だが隆景の思惑は、別のところにもあった。