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おんな小早川秀秋
第4章 埋められない差
 
 胸の内ではこれだけ現世に絶望し、己は無力だと嘆きながら、兄はどうやって笑い、勇ましく戦場で立っていたのでしょうか。

 その戦場とて、全て兄が大地を整えたものです。しかし大地が足元でしっかりしているのは当然だと思い、感謝する事もないのです。兄の掌の上で戦いながら、私達は誰一人兄に目を向けていませんでした。

 誰にも感謝されず、父の子だからそれくらい当然だとはねつけられ、もっと強くなれと要求される。こんな不義理に耐え続け、微塵も感じさせる事のなかった兄を思えば、私は涙が止まりませんでした。家族にすら真の自分を理解されず生きるなど、私ならば耐えられません。三日三晩泣きはらしても、胸に残る後悔は晴れませんでした。

 どうして私は、兄の弱さに気付けなかったのか。今でも、後悔は続いています。私が兄を理解し手を差し伸べていれば、兄は死ななかったのではないかと、そう思います。人は表と裏がある、私はこの事実を理解したつもりになっていて、結局ちっとも理解していなかったのです。

 しかし今さら理解しても、兄はもう二度と私の前に現れてはくださりません。兄を慰めるためには、僧に弔いを頼むしかありませんでした。
 
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