この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
おんな小早川秀秋
第1章 乱世の匂い
 
「だから、どうしても『羽柴秀俊』を安芸に送らなくてはならない、と」

「そういう事だ。幸い、太閤様は実子である拾様に夢中で、無事に着いたと知ればこちらには目もくれないだろう。しばらくやり過ごした後に、秀俊様が病で逝去されたと情報を流せばいい。そうすれば、お前さんも晴れて自由の身だ」

 さらに山口が、助け船を出すように口を挟む。

「もちろん、お主が秀俊様になりすましている間の政治は、我らが請け負う。お主は礼儀作法さえ身に付けてくれれば、後は何もしなくて良い」

「一刻も早く安芸へ着かねば、暴漢達が秀俊様の鼻を証に死を広めてしまう。影武者を用意する暇はないんだ。顔の似ているお前さんでなければ出来ないこの任、どうか受けてはくれないか」

 山口に頼勝、そしてまだ名を聞いていない若武者も、まだ年若いあきへ頭を下げる。大の大人に頭を下げられ、しかもそのような事情だと聞いてしまえば、村へ返せとはとても言えなかった。

「――分かりました、私が、羽柴秀俊として、安芸に向かいます」

 あきが承諾すれば、山口は安堵の溜め息を吐き、頼勝に至っては涙ぐみながら喜ぶ。こうして備前国のあきという女は、羽柴秀俊と名乗り歩む事となる。

 そして向かった安芸の国で、瞼の裏に焼き付いて離れないもう一人の男――義父となる男、隆景と出会う事となったのだった。
 
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ