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私を愛して
第1章 -第1章-
「………出来た♪
どう?お兄ちゃん!」
「…どれ、見せて」
慎一は プリントを見る。
「…うん。正解。」
「やった〜♪
終わった〜〜♪
お兄ちゃん、ありがとう。」
「どういたしまして。」
慎一は、フッと笑う。
「あ〜何だか、喉渇いちゃった。
お兄ちゃんも、何か飲む?
コーヒーで、いい?」
「ああ。貰おうかな。」
カチャカチャ………
「はい。どうぞ。」
「…サンキュ。」
コーヒーを飲みながら慎一は、美咲を見つめる。
「…ん?お兄ちゃん、どうかした?」
「…美咲…
学校は、楽しいか?」
「うん。楽しいよ?」
美咲はニッコリ微笑む。
「…そうか…。」
「…お兄ちゃん……
他に何か言いたい事あるんでしょ?」
美咲は慎一を見つめる。
「…ああ。
美咲も気がついてるだろうが、“高崎の爺さん”また入院するらしい。」
「……やっぱり……
旅行は嘘だったのね……」
美咲は悲しげに目を伏せる。
「美咲に心配かけたくなかったんだろう。
だが、もういつどうなるかわからないから、覚悟はしておいた方がいい。」
「………うん………」
「美咲は爺さんが好きなんだな。」
「…うん。大好き。
おじいさまは、美咲をたくさん可愛がってくれるもの……」
「…そうだな。
“契約”したもんな……」
慎一は、口元を上げ美咲を見た。
そんな慎一を美咲も少し潤んだ目で見つめた。