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WHITE TIGER
第1章 memory








仕事を終えてマンションに帰宅する。

時刻はPM07:35。






「はぁ、ただいま、っと」

何て挨拶をしても誰も返してくれないとはわかってはいるが。



はぁ…、今から風呂に入って着替えて飯を作って…、と言っても飯はどうすっかな。

何を作ろうか?

気分的には和食が食べたいけど、和食って作るのが死ぬほど面倒なんだよな。

だからってスーパーの惣菜ばっかりじゃ体に悪そうだし。


真っ暗な廊下の電気を付けて明るくなった廊下を歩きながら向かったのは寝室。

まずは部屋着に着替えたい。

この堅苦しいスーツを脱ぎたい。

ベッドの上に脱ぎ捨てた部屋着に着替えるために寝室に向かった。




パチンッと音を立てて電気を付けると、今朝と変わらない少し散らかった寝室が照らし出される。




クタクタの体を引き摺るようにしてまずはベッドに腰を下ろした。

「はぁ…」

サービス残業に休日出勤。

忙しさで頭をいっぱいに…、何て考えてたけど体は生身の人間なのだから、知らず知らずのうちに疲れが溜まっているみたいだ。

ま、あんだけ無理をすれば当たり前か。



ジャケットを脱いでネクタイを緩めながら散らかった室内をぼんやりと眺めた。

テレビも点けずオーディオ類もオフのまま、静寂だけが流れる室内。






あの時は…、舞がいた時はもう少し音が溢れてた。

帰って来たら飯が出来てて風呂も沸いてて、部屋もきちんと片付いてて。

舞が作る飯はとにかく美味くて、毎日毎日腹一杯食ったっけ。






会社で思い出した記憶は俺の私生活まで破壊していく。

1日中、舞の残像が俺から離れてくれない。

こうなると本当に厄介なんだ…。



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