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WHITE TIGER
第1章 memory
あの時、ほんの数日間だったけど、俺は幸せだった。
愛し合う恋人同士の同棲じゃなかったし、舞にとっては一時的なものでしかなかったかも知れないけど、俺は本当に幸せだったんだ。
1度はこの手で触れた。
一瞬だったけど、全部覚えてる。
舞の香りや表情、毛先一本の感触だって覚えてる。
そのまま重力に任せるかのように体を後ろに倒してベッドに体を沈めていく。
疲れきってる体はゆっくりゆっくりベッドに沈んで行く。
あの男に関わったせいで舞との関係は拗れてしまった。
いつだったかあの男の関係者の事件に巻き込まれて病院送りになったことだってあったし。
それでも舞はあの男を選んだ。
もう2度と俺の元には戻って来ないと、そうはわかってるのに…。
寝返りを打ちながらベッドに顔を埋めた。
何かにすがり付くように、諦め切れないかのように。
そして、無意識のうちに自分の手が下半身に伸びた。
まだ舞の香りが残ってるような気がした。
もう何ヶ月も経ってるし、香りなんてとうに消えてるはずなのに、このベッドで眠っていた舞の事を思い出すだけで…。
「んっ…」
いっそ、何も…、何も知らないままならよかった。
舞の表情や香り。
舞の体の感触や唇の柔らかさ。
何も知らないままなら、俺はここまで壊れずにすんだんだ。
ここまで諦めの悪い、浅ましい男に成り下がる事なんてなかったんだ…。
「は…っ、ん…」
本当にただの…、舞の"女"の部分を知らない、ただの幼馴染みのままだったらよかったのに…っ。
1度でも知ってしまったら止まらない。
中途半端に味を覚えたまんま、お預けを食らった犬みたいだ。
愛し合う恋人同士の同棲じゃなかったし、舞にとっては一時的なものでしかなかったかも知れないけど、俺は本当に幸せだったんだ。
1度はこの手で触れた。
一瞬だったけど、全部覚えてる。
舞の香りや表情、毛先一本の感触だって覚えてる。
そのまま重力に任せるかのように体を後ろに倒してベッドに体を沈めていく。
疲れきってる体はゆっくりゆっくりベッドに沈んで行く。
あの男に関わったせいで舞との関係は拗れてしまった。
いつだったかあの男の関係者の事件に巻き込まれて病院送りになったことだってあったし。
それでも舞はあの男を選んだ。
もう2度と俺の元には戻って来ないと、そうはわかってるのに…。
寝返りを打ちながらベッドに顔を埋めた。
何かにすがり付くように、諦め切れないかのように。
そして、無意識のうちに自分の手が下半身に伸びた。
まだ舞の香りが残ってるような気がした。
もう何ヶ月も経ってるし、香りなんてとうに消えてるはずなのに、このベッドで眠っていた舞の事を思い出すだけで…。
「んっ…」
いっそ、何も…、何も知らないままならよかった。
舞の表情や香り。
舞の体の感触や唇の柔らかさ。
何も知らないままなら、俺はここまで壊れずにすんだんだ。
ここまで諦めの悪い、浅ましい男に成り下がる事なんてなかったんだ…。
「は…っ、ん…」
本当にただの…、舞の"女"の部分を知らない、ただの幼馴染みのままだったらよかったのに…っ。
1度でも知ってしまったら止まらない。
中途半端に味を覚えたまんま、お預けを食らった犬みたいだ。