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第5章 スタート

栞奈の父　洋平は絵里子の家の事は知っていた

美希の友達として、関わってきたからだ

絵里子の家は会社を経営する父親と、フードコーディネーターをしている母親がいた

兄弟は絵里子と弟の頼朝だけだった

両親は政略結婚だったせいか……

愛情もなく冷え切った関係だったらしく

子供に見向きもせずに、自分達は愛人と生活を始めていた

仕事の関係上、父親は離婚は出来ない

母親はスキャンダルは御法度のテレビ業界にも顔を出す以上は貞淑な妻の座は死守していた

子供に見向きもせず

己の利益しか頭にない奴等を………

親とは言わない

親だと想わない

そうやって絵里子と頼朝は生きてきた

だから、栞奈の家に……

物凄く憧れた

親や兄弟の仲の良い家庭って本当にあるのか？

って想って来たから、余計にそう思った

絵里子は美希と知り合って、美希の親や兄弟に世話を焼いて貰った

頼朝も美希の家に行くようになって栞奈と出逢った

最初は喧嘩ばかりしていたが、栞奈の横にいるのは

素の自分で良かったから……楽だった


石田家の優しさに救われなければ………

自分達は今も人間不信のままだった