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あいの向こう側
第10章 眺める街
『そろそろ夜食とるぞ?
甘いもん、少しにしておけよ』
俺はPCを叩きながら呟く。
藍田は大きな瞳が特徴的な美人だが、
『やっだー!
湯井さん、お父さんみたーい(笑)甘いモノで充電するんだってば』
と色気ナッシング。
『俺なんてほら』
若干メタボの弦はポケットからチロルチョコを10個程出した。
『お前ら……
良いけど納期だけは守ってくれよ……』
俺は呆れつつも、
こういう何気ないやり取りに気持ちは綻ぶ。
『貴士【たかし】さーん、
関西圏の過去何年かのチラシあります?』
井野尾圭介【いのおけいすけ】が俺のデスク上を探る。
『あー、
左側のどっかにあるはず。何見んの?』
『色アリと色ナシ、
どっちが見易いかと思って』
『色アリじゃないの?
てか発注は何て来てるの』
『書いてないんすよー』
『そりゃ本社に問い合わせて確認しとけよ!』
『………へ〜い……』
井野尾は肩を落として自分のデスクにすごすごと戻っていった。
(口うるさいオッサンになっちゃったね、俺)
肩書もない。
単に古参(デザイン部では)だから指示を出す時もある。
本社からお叱りを受けるのは専ら俺の役目だった。
――――本当に会いたいと思ってるの?!
PC画面を見詰めていると、紗英の表情が脳裏に浮かんだ。
睨みながら、少し涙を溜めた瞳。
もう2ヶ月近く会ってないなぁと他人事のように思う。
甘いもん、少しにしておけよ』
俺はPCを叩きながら呟く。
藍田は大きな瞳が特徴的な美人だが、
『やっだー!
湯井さん、お父さんみたーい(笑)甘いモノで充電するんだってば』
と色気ナッシング。
『俺なんてほら』
若干メタボの弦はポケットからチロルチョコを10個程出した。
『お前ら……
良いけど納期だけは守ってくれよ……』
俺は呆れつつも、
こういう何気ないやり取りに気持ちは綻ぶ。
『貴士【たかし】さーん、
関西圏の過去何年かのチラシあります?』
井野尾圭介【いのおけいすけ】が俺のデスク上を探る。
『あー、
左側のどっかにあるはず。何見んの?』
『色アリと色ナシ、
どっちが見易いかと思って』
『色アリじゃないの?
てか発注は何て来てるの』
『書いてないんすよー』
『そりゃ本社に問い合わせて確認しとけよ!』
『………へ〜い……』
井野尾は肩を落として自分のデスクにすごすごと戻っていった。
(口うるさいオッサンになっちゃったね、俺)
肩書もない。
単に古参(デザイン部では)だから指示を出す時もある。
本社からお叱りを受けるのは専ら俺の役目だった。
――――本当に会いたいと思ってるの?!
PC画面を見詰めていると、紗英の表情が脳裏に浮かんだ。
睨みながら、少し涙を溜めた瞳。
もう2ヶ月近く会ってないなぁと他人事のように思う。