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あいの向こう側
第10章 眺める街
『藍田こそワガママばっか言ってんじゃないの?
何つったっけあの銀行マン』


『わたしぃ?
わたしは大丈夫なんです〜〜〜。
週3回は会ってるもん』


俺はふと、
藍田七緒に体を寄せた。

『なぁ。
週3ってどうやって時間捻出してんの?』



訊くと、
藍田七緒は4つ目のおいなりさんにかぶり付きながら『えーと、デザイン画作成して入力して本社に送信したあとOKくるまで2時間はかかりますよね?
その間とか入稿した後とか。彼の外回りに合わせて抜けます』
と言う。



『ふーん………
弦は?』


弦は2袋目のポテチを開けつつ、
『俺そんな相手居ませんもん』と嬉しそうにポテチを頬張る。



藍田七緒はおいなりさんを食べ終わると、
『時間ないっつってたら永遠に会えないんすよ!
だから無理やりでも作るの』
と人差し指を立てた。




『作るったってなぁ………………』


『あー!
そういうトコ!それは怠慢ですよっ。
カノジョなら嫌だと思うわぁ』
七緒はドアラのマーチを開ける。


『元気だねぇ、2人共』

俺はイキイキしている2人を見て思わず感心した。


井野尾はカツ丼を食べ終え満悦そうだ。

『3人か』





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