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あいの向こう側
第11章 痣が消えない
―――職場に携帯を忘れて、
取りに戻った秋頃のこと。
夜8時前になっていたからダメ元だった。
あまり携帯もいじらない俺は「事務所が閉まってたら明日でいいや」
と気楽に戻ったのだ。
すると、
事務所は未だ開いていた。
小さな灯りが洩れていた。
どうやらもうすぐ事務所を閉めるところらしい。
俺はカラカラと古い開き戸を開けた。
「きゃあっ!」
事務机に座って、
1人残っていたのが亜季だった。
「腹減ってたの?」
俺はカップ麺を抱え込むように持ち、
麺にかぶり付いたところだった亜季に訊いた。
笑いを堪えながら。
仕事中の亜季は大人しく、ツンと澄ましたような表情(本人が「上唇が反ってて怒ったように見られてしまうのが悩み」
と溢している)があってフレンドリーさが0という印象だった。
社員たちと雑談も最低限しかしない。
それが、
事務所を閉める時間になってカップラーメンにかぶりついていたのだから……
ツボった。
取りに戻った秋頃のこと。
夜8時前になっていたからダメ元だった。
あまり携帯もいじらない俺は「事務所が閉まってたら明日でいいや」
と気楽に戻ったのだ。
すると、
事務所は未だ開いていた。
小さな灯りが洩れていた。
どうやらもうすぐ事務所を閉めるところらしい。
俺はカラカラと古い開き戸を開けた。
「きゃあっ!」
事務机に座って、
1人残っていたのが亜季だった。
「腹減ってたの?」
俺はカップ麺を抱え込むように持ち、
麺にかぶり付いたところだった亜季に訊いた。
笑いを堪えながら。
仕事中の亜季は大人しく、ツンと澄ましたような表情(本人が「上唇が反ってて怒ったように見られてしまうのが悩み」
と溢している)があってフレンドリーさが0という印象だった。
社員たちと雑談も最低限しかしない。
それが、
事務所を閉める時間になってカップラーメンにかぶりついていたのだから……
ツボった。