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あいの向こう側
第11章 痣が消えない
『……よく見てんなぁ…………』


ミヤタは届いたジョッキを抱え、
泡を啜りながら『んでシャケとほうれん草とだし巻きな。
おにぎりに海苔で顔書いてたやろ?
ムカつくなー』


『まじか………
タキいつの間にそんな事に………俺母親ののり弁なのに』
タブチは肩を落とした。



『ストーカーみたいだな、ミヤタ』



ミヤタはジョッキを一気に空けて、
器をドンッとテーブルに置いた。

そして俺の肩に顔を寄せて手を添え、
『なーなー。
亜季ちゃんてエッチのときどんなん?
めっちゃ乱れるほう?
締まりええ?』
と問う。


男同士でアルコールが入ると、
必ずといっていいほど下ネタになる。


俺は『あー、
めちゃめちゃ締まり良くて胸はでかくて最高にエロいぞ』と適当に言った。



タブチは半分寝ている。



『お前ゼータクやなぁ…………
俺の嫁と替えてくれ』


『嫌だ。
お前の嫁は鬼だろう』
ミヤタの奥さんには何度も会ったことがある。
ハキハキ物を言う男勝りな子だ。


『鬼やわ〜。
エッチのときも上やしな』ミヤタが笑いながら言った瞬間、
ミヤタの胸ポケットのスマホから呼び出し音が響く。『うわ!
怖っ、噂をすれば〜や!
嫁からや………………………………俺、あと一杯飲んだら先帰るわ…』


千円札を3枚テーブルに置いてミヤタはそそくさと帰って行った。


何だかんだ言いながら仲は良いのだろう。







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