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あいの向こう側
第11章 痣が消えない
俺は潰れて寝ているタブチを見ながら、

ぼんやりと亜季の視線を思い出す。





――――付き合って一年なのがどうとかじゃない。



俺は、
ゴムを着けていても必ず冷静に引き抜いて外で出す。

亜季がそれを見て複雑な気持ちを抱いていることは知っていた。


亜季だってピルを飲んでいるのだから、
そこまで慎重になられたらモヤモヤすると思う。




たまに喧嘩はあるし、
かといってそれが決定的な溝を作る訳じゃなかった。


本当に落ち着いて気取りなく居られるのだなと思う。



―――オカズを数皿頼んで食べながらビールを飲んだ。


タブチをタクシーに放り込み、
俺は代行を呼んだ。


そして帰宅する。



暗いアパートに入って灯りを点ける。


今朝まで居た亜季の気配がすっかり消えている。

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