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あいの向こう側
第11章 痣が消えない
――――アラーム音で目を覚ます。


『…………夢か………』


離婚届を持つ指の感触が生々しく残っていた。



昔実際に体験したことを夢で見ていたようだ。


『寒い、まずいエアコンのタイマー忘れて寝落ちしたな……』



アイスを食べて寒っ、と身震いした亜季が脳裡に浮かんだ。



肩が軽くなってベッドから起き上がる。



―――出勤し、
仕事をこなす。

夕方になって片付けをしているとスマホがバイブした。

見ると、
亜季から〔明日夜に行っていいかな?〕とメッセージが入っている。


律儀な亜季は、
部屋に来る前日にこうやって訊くのだ。
突然来ることはない。


俺は〔今日はダメなの?〕と返す。


〔今日?良いなら行くよ!〕弾んだような返事が直ぐ返ってきた。


〔わかった、
待ってる〕

そう返した。
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