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あいの向こう側
第12章 みなとみち
2人並んで海に続く港を歩く。


『そうねぇ、
さわは頑張りすぎなんと違う?
昔から何しても1人ずば抜けとったし、外語大行って留学してそのまま海外住んだ子ぉやかこの市探しても居ないよ』



『……そんなことはないよ。
わたしなんかダメダメだったから』
だから、戻って来てしまった。


びゅうっと強い海風が吹いた。


佐和子の薄青色のシャツがはためいた。

踝までの麻パンツに埃が飛ぶ。



『もう夏やねぇ(笑)
暑くて敵わんわ、
海に浸かりたいけど旦那に〔お前が浮いてたら公害や〕言われてなぁ』美和子はさらりと話題を変える。


『あははは!
公害は酷すぎ』


『…………さわ、笑いすぎや………』











美和子は所謂幼なじみだ。高校から別になった。

裁縫や料理をするのが上手く、
周りの女子が「みわはええ母ちゃんになるね」と言っていた。
その通り20歳で結婚をして子供を産んだ。

美和子のことだから子供の靴下もセーターもバッグも全て手作りなのだろうなと思う。
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