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あいの向こう側
第12章 みなとみち
『………はー、
何や佐和子は変わらんねぇ』

船から降りた武は地べたに胡座をかいて座り、

わたしを見上げてそう言う。
………昔は私と美和子は〔名前が似ている〕だけでセットのように『さわみわ』と呼ばれていたものだ。
『成長してないのよね(苦笑)』


『俺、〔モヤシ〕から〔ゴボウ〕になったって言われてるよ。
野菜からは抜けんという………』

『漁師なんやから魚に行かなあかんのにねぇー』



2人の掛け合いを聞きながら、
わたしは不思議な感覚になった。



話し上手なマリ。

少し照れながらマリに話を合わせるニック。


場所が全く違うのに、
わたしはそこに背が高いソバカスだらけのニックと、手足が長くスラリとしたマリが居て弾んだ会話をしているように感じた。




わたしの脚を、
高価な貴重品を愛でるように撫でる人…………………………
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