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あいの向こう側
第12章 みなとみち
――――カモメがヒューッと啼く。
わたしは目の前で笑う武と美和子をぼんやり眺めた。
『―――武くん。武?
子供さんは男の子?女の子?』
武は『何や、
武くんて(笑)
子供は男や。
美和子のとこの下のと同じ4つ』と照れたように頭を掻く。
『何て呼べばいいか一瞬迷ったの(笑)
そっかー、男の子かぁ』
『2人目があと2ヶ月で出てくるやんな?』
美和子がニヤニヤと横目に武を見る。
『そうなの?おめでとう』
『ぶじ出てきてくれたらなぁー思うよ。
それであの大漁旗や』
武は船に向かって指をさした。
武の船に、
青い下地に『大和海』と赤い筆文字が書かれていた。ばたばたとはためいている。
大漁旗(たいりょうばた)というのは文字通り大漁を願う旗なのだが、
地域の祝い事や祭りなどの時にも陸地に立てることがある。
『むかーし、
佐倉【さくら】の爺さんの大漁旗を破ってめちゃめちゃ怒られたよなぁ。
さわとみわ』
『…………え?
そんな事あった?』
わたしは思い出せず首を傾げた。
『あったっけぇ?
佐倉て集会所の隣の佐倉商店やろう?』
美和子もはて、という表情。
武は呆れたように眉間にシワを寄せた。
『お前ら薄情やなぁ………
あの時「子供会全員の責任や」言われて皆で1週間溝掃除くらったやん……』
『覚えてないわぁー。
いやだー、物忘れかいな?』
美和子が困惑する。
『覚えてる内容が違うんでないの?』
武が言い、再び2人はあーだこーだと世間話をしている。
わたしは目の前で笑う武と美和子をぼんやり眺めた。
『―――武くん。武?
子供さんは男の子?女の子?』
武は『何や、
武くんて(笑)
子供は男や。
美和子のとこの下のと同じ4つ』と照れたように頭を掻く。
『何て呼べばいいか一瞬迷ったの(笑)
そっかー、男の子かぁ』
『2人目があと2ヶ月で出てくるやんな?』
美和子がニヤニヤと横目に武を見る。
『そうなの?おめでとう』
『ぶじ出てきてくれたらなぁー思うよ。
それであの大漁旗や』
武は船に向かって指をさした。
武の船に、
青い下地に『大和海』と赤い筆文字が書かれていた。ばたばたとはためいている。
大漁旗(たいりょうばた)というのは文字通り大漁を願う旗なのだが、
地域の祝い事や祭りなどの時にも陸地に立てることがある。
『むかーし、
佐倉【さくら】の爺さんの大漁旗を破ってめちゃめちゃ怒られたよなぁ。
さわとみわ』
『…………え?
そんな事あった?』
わたしは思い出せず首を傾げた。
『あったっけぇ?
佐倉て集会所の隣の佐倉商店やろう?』
美和子もはて、という表情。
武は呆れたように眉間にシワを寄せた。
『お前ら薄情やなぁ………
あの時「子供会全員の責任や」言われて皆で1週間溝掃除くらったやん……』
『覚えてないわぁー。
いやだー、物忘れかいな?』
美和子が困惑する。
『覚えてる内容が違うんでないの?』
武が言い、再び2人はあーだこーだと世間話をしている。