この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第12章 みなとみち
部屋に入ると、
座っているマリを横目にニックは腕を組んでうろうろと歩き回る。
『ねぇ、ニック。
一体どうしたの?』
わたしはコーヒーを用意してニックに差し出した。
ニックはコーヒーカップを持ち、
一口飲むとカップを落とした。
『―――ひっ……』
わたしは声にならない悲鳴をあげた。
ニックはわたしの髪を掴むと強く引っ張る。
『痛い!何をするのよ』
『サワコ、君はここへマリを連れ込んで何を教えた?マリの体に赤い点がついている』
ニックは怒りながら早口でまくし立てた。
『ニック!
やめて、サワコが悪いんじゃないわ』
マリが怒鳴りながら立ち上がる。
わたしは訳が分からず、
髪を引っ張るニックにただ恐怖を感じた。
『マリは僕の婚約者なんだ!
ずっとずっと、僕だけのものだ』
ニックが叫ぶ。
『………えっ?』
わたしは初めて聞く話に、ぽかんとした。
『本当に?マリ、あなたニックと婚約してたの?』
マリは傍らでニックの腕を押さえていたが、
『………そうなの』
と呟き力なく俯いた。
『あなた何も言わなかったじゃないの!!
ニックと婚約してるなら、そう言ってくれれば』
同性同士で性を交わした罪悪感から、
わたしはマリを責めた。
婚約しているにしては、
マリとニックはあまりに捌けていたし……
恋人らしきベタベタした印象が全く無い。
わたしはその印象を、
息を整えながらニックに話した。
すると…
『僕たちはそういう付き合い方をしてるんだ。
四六時中絡まっているのが恋人同士ってわけじゃないだろ?
高校生の時からずっと居るんだ。マリはマリの勉強をして僕は僕の勉強をして、一人前になったら結婚するつもりだよ』
『………そうだったの…。知らなかった』
わたしはてっきり、
マリとニックはセックスフレンドのような関係だと思っていた。
座っているマリを横目にニックは腕を組んでうろうろと歩き回る。
『ねぇ、ニック。
一体どうしたの?』
わたしはコーヒーを用意してニックに差し出した。
ニックはコーヒーカップを持ち、
一口飲むとカップを落とした。
『―――ひっ……』
わたしは声にならない悲鳴をあげた。
ニックはわたしの髪を掴むと強く引っ張る。
『痛い!何をするのよ』
『サワコ、君はここへマリを連れ込んで何を教えた?マリの体に赤い点がついている』
ニックは怒りながら早口でまくし立てた。
『ニック!
やめて、サワコが悪いんじゃないわ』
マリが怒鳴りながら立ち上がる。
わたしは訳が分からず、
髪を引っ張るニックにただ恐怖を感じた。
『マリは僕の婚約者なんだ!
ずっとずっと、僕だけのものだ』
ニックが叫ぶ。
『………えっ?』
わたしは初めて聞く話に、ぽかんとした。
『本当に?マリ、あなたニックと婚約してたの?』
マリは傍らでニックの腕を押さえていたが、
『………そうなの』
と呟き力なく俯いた。
『あなた何も言わなかったじゃないの!!
ニックと婚約してるなら、そう言ってくれれば』
同性同士で性を交わした罪悪感から、
わたしはマリを責めた。
婚約しているにしては、
マリとニックはあまりに捌けていたし……
恋人らしきベタベタした印象が全く無い。
わたしはその印象を、
息を整えながらニックに話した。
すると…
『僕たちはそういう付き合い方をしてるんだ。
四六時中絡まっているのが恋人同士ってわけじゃないだろ?
高校生の時からずっと居るんだ。マリはマリの勉強をして僕は僕の勉強をして、一人前になったら結婚するつもりだよ』
『………そうだったの…。知らなかった』
わたしはてっきり、
マリとニックはセックスフレンドのような関係だと思っていた。