この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第12章 みなとみち
あまりに自由奔放に、
あまりに熱心に〔自分のしたいこと〕
に嵌まっている2人だったから。
マリは、
わたしを見ると『隠していてごめんなさい。
サワコと2人で居ると楽しくて』と話す。
すかさずニックが『2人で?!
おかしいだろう、いつだってマリは僕と対のはずだ。サワコが何だっていうんだ。
ただの東洋人じゃないか』と叫んだ。
蔑んだ言い方だった。
マリはニックの頬を叩いた。
パシッと乾いた音が響く。
マリは声を震わせ、
『……サワコは美しいわ。わたしはサワコの髪や体、爪先まで全てを尊敬してる。感性だってサワコ個人のものよ。人を見て言葉を選んで、人を見て合わせて動くの。
ニック、見損なった』
と言いアパートメントを出て行った。
ニックはわたしを直視せず、『………もう僕たちと関わらないでくれ。
マリはあんなヤツじゃなかった。自由に見えて必ず僕のところに帰って来ていたのに、このところ上の空で日曜すら居ない。二言目には「サワコがね」って話し出す』
苦々しげにそう言うと、
部屋を出て行ってしまった。
バタンと扉が閉まる音がした。
あまりに熱心に〔自分のしたいこと〕
に嵌まっている2人だったから。
マリは、
わたしを見ると『隠していてごめんなさい。
サワコと2人で居ると楽しくて』と話す。
すかさずニックが『2人で?!
おかしいだろう、いつだってマリは僕と対のはずだ。サワコが何だっていうんだ。
ただの東洋人じゃないか』と叫んだ。
蔑んだ言い方だった。
マリはニックの頬を叩いた。
パシッと乾いた音が響く。
マリは声を震わせ、
『……サワコは美しいわ。わたしはサワコの髪や体、爪先まで全てを尊敬してる。感性だってサワコ個人のものよ。人を見て言葉を選んで、人を見て合わせて動くの。
ニック、見損なった』
と言いアパートメントを出て行った。
ニックはわたしを直視せず、『………もう僕たちと関わらないでくれ。
マリはあんなヤツじゃなかった。自由に見えて必ず僕のところに帰って来ていたのに、このところ上の空で日曜すら居ない。二言目には「サワコがね」って話し出す』
苦々しげにそう言うと、
部屋を出て行ってしまった。
バタンと扉が閉まる音がした。