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あいの向こう側
第12章 みなとみち
冬、
毎日続く胃痛に耐えられずに病院を訪れた。



胃に良性のポリープができていた。
医者からは『何か慢性的なストレスがあるね』と言われた。

わたしは、
病院で手術を終えると日本に帰ろうと決めた。

















『ママ〜〜〜〜〜!!』
子どもの声にハッとした。

『あー、悠太【ゆうた】〜。
どうしたん、おばあちゃんはー?』
美和子が小走りに走ってきた男の子を全身で受け止めた。


『朝ごはん食べた!
遊んでこいって!』
元気な声で言う。
『おっちゃん、
風海【ふみ】は家でおるのー?遊び行ってええ?』
武に訊く。



『あー、ええよ。
まだ寝ぼけとるかもしらんけどなぁ』
武は豪快に笑う。

男の子は、ふとわたしに目を留めた。居たのかという風に。

『だーれ?』と美和子に尋ねる。


『ママのお友達よ。
ごあいさつは?』


『こんにちは!
あ、おはようございます?どっちや?』
首を傾げている。


その仕草が可愛らしい。


『こんにちは、はじめまして』
わたしは屈んで挨拶を返す。

男の子は恥ずかしいのだろう、
俯いてダッシュで走っていく。

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