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あいの向こう側
第12章 みなとみち
『美和子によく似てるね?』
わたしが言うと、

美和子は『そりゃー私の子やもん』
と笑う。



男の子が走って行った道をじっと見る。



港から民家に続いている、漁師町らしいゴミゴミした通路。


どうしても帰りたかったというわけじゃない。
体調不良を機に、
少し息抜きをしたくなった。



マリとニックは、
今頃どうしているだろう?


短くなったわたしの髪を見たら、
マリは嘆くのだろうか。
「ショートも素敵だわ」とまた恥ずかしいくらいの褒め言葉を並べるかもしれない。


朝の光がまんべんなく広がった港の道を見ながら、
わたしは清々しい気分になる。





望めば、またマリに逢えるだろうか…………




穏やかな波の音が耳に優しく届く。

港道は、長く長く続いている。















〔終〕
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