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あいの向こう側
第13章 夏に飛び込んで
クジラくんのフォトブックは、
デザイン画がメインだ。

彼の考え方やらデザインの仕方、
インタビューが殆どない。


ページの片隅に「異論」だとか「予感と似た感情」だとか、
デザイン画のタイトルらしき短文が載っている。


プロフィールにも本人の顔写真がない。


フォトブックを作ったのは無名の若い写真家で、
出版社は名が通った大手だった。






___社内のデスクにてPCを叩きつつ片手でページを捲る。


昨夜久しぶりに明莉を抱いたら燃えてしまって、
腰が痛い。


あまりに眠くて、
昼前に『打ち合わせ行ってきまーす』と嘘を言い外に出た。



早めの昼食とリフレッシュタイム。

コンビニ袋を提げ、近くの公園のテラスにむかう。

緑が輝いていた。
これから、暑くなるだろう。


『セイルさんだ………』
声がして振り返った。


『……………クジラくん………』
やはり高校生のような風貌のクジラくんが、
目を丸くして立てっている。


『よく合うね………』俺はポカンとしてしまった。


『そこの文具屋にインクとコピー用紙を買いに来てて』クジラくんは公園の斜向かいにある文具屋を指さした。

『す、座る?』
何だか調子狂うな………

俺はベンチの隣席を指した。

『あー、うん……』
クジラくんもおずおずと座る。『仕事中ですか?』



『フォトブック、
見たよ』
俺はクジラくんからの質問はスルーした。
言葉が衝いて出た。

『デザイン、本当に好きなんだなと思った』


『フォトブックって…………
一冊だけ出したあれですか?』

『表紙が青一色のものだけど』

『ああ、
あれは………写真家が知り合いで、頼まれちゃって』

『後輩は「何か内側抉られるんです」つってたけど』


『…………………
セイルさんはどうでしたか』


『う~~~ん……
俺に感性がないんだろうね。
すごいんだなとしか思わなかった』

何だろう。
気の利いたことを言えばいいのに、
実直な言葉しか出ない。


『そっか……』
クジラくんがホッとしたように息を吐いた。

『嫌なの?
自分のデザインが評価されるの』
少し苛ついた。

普段口八丁だらけの自分が、
上手く言えないことに。
いつも上手くかわすし、おべっかなんてクセみたいに出てくるのに。



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