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あいの向こう側
第14章 嗤う波
カナは、
恋人・タツキと海に来ていた。


付き合って初めての夏だ。


お互い社会人2年め。
昨年秋に友人が主催した合コンで出逢った。

大人しいカナは、
自己アピールの強い友人に気圧され隅でカンパリソーダを飲んでいた。
そこに『ねぇ何飲んでるの?』とフレンドリーに声をかけてきたのがタツキ。



中学・高校と野球部だったというタツキは、
スポーツマンらしく明るい。髪は短めで、背が高い。

ポジティブだし、
何かと挫けがちなカナを叱ることもなく寄り添い解決方法をいっしょに考えてくれる。



モテるかというと至ってフツー。たまに『告白された』と報告がある。彼は隠し事をしない。

野球一筋のため一度野球の話になると止まらない。
目尻を下げて笑いながら野球の話をするタツキが好き。

大人しく、
自己主張の少ないカナには沢山喋ってくれるタツキが心地よかった。





男子=「可愛くてスタイルがいい女子なら誰でもOK」と思い込み、
苦手意識があったカナに自信をくれたタツキ。


目下夢は彼のお嫁さんだ。
けど、
それは内に秘めていた。



結婚したいアピールは男子は敬遠するから。

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