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あいの向こう側
第14章 嗤う波
『……………いったぁ~~~い………』
カナは地べたに座り込んで唸る。
周りは真っ暗だ。
『あ、え、タツキ??』
繋いでいたハズのタツキの手がない。
キョロキョロ見廻す。
『………………え………
いない………』
いっしょに転がり落ちたのに。
『タツキ~~~………』
暗くて怖い。
カナは泣きそうな声でタツキを呼ぶ。
手探りで地べたを這う。
カツンと硬いモノに触れた。
____スマホがあった。
タツキの車から、
スマホだけ持って出たのだ。
暗闇のなか、
どうにか画面スイッチを入れた。光にホッとする。
スクロールし、tellボタンを押す。
タツキをコールした。
プルルル………
プルルル………
タツキが近くにいるなら、
着信音が鳴るはず……
ジリリリン♪♪
ジリリリン♪♪
タツキのスマホの着信音が聞こえた。
『え、あっち??にいるの?』
音は遠くから微かに聞こえる。
足元は暗くて見えないけれど、
そっと一歩進むと砂浜らしい感触がサンダル越しに伝わる。
ヨタヨタと音がするほうへ歩く。
夜目が慣れてきた。
少し、
辺りが見える。
砂浜が広がってるみたいだ。
でも、ならなんでタツキのスマホ音はこんな微かに聞こえるんだろ?
自分のスマホを耳に当てたまま、
ゆっくりと歩く。
『……………もしもし』
突然、タツキがtellに出た。
『タツキっ?!
どこにいるのっ』
『こっちだよ。
こっち。』
『え、どこ?
砂浜しか見えないよ………
怖いし………』
『怖がりだなぁ、カナは(笑)
こっちだよ、
そのまま真っ直ぐ歩いてきなよ』
『え?
タツキ、あたし見えてるの?どこ?』
キョロキョロしてみたけれど、
辺りは人影がない。
沿道を見上げた。
が、
人影らしきものはないようだ。