この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あいの向こう側
第15章 イトヲヒク
彼は「そういうところがいいよなぁ」と言っていた。
「すがられちゃたまったもんじゃないよね。
あっさり背中を向けてホテルを出ていく君がいい」と。


しかし実際には2ヶ月ほど前から別れの準備__連絡を返さない・
ドタキャンするなど態度に出していた___
をしていたら、
渋ったのは彼のほうだった。


子供のように「何故なんだ、
男でもいるのか」と怒る彼に急速に萎えて行った。


割り切れないのなら、
不倫などするべきじゃない。




私には家庭を持つ願望がなかった。

20代のころは「いつか結婚したいかなぁ」と漠然と思っていたけれど。
漠然と思っていただけで一切行動もしなかったのだから、
本当に結婚したくないのだなぁと自分でも首を傾げてしまう。



別れを選んだ理由も単純で、
彼のセックスに飽きたのだ。




『これだ。
これ』

私は何をしているかというと、
納豆を混ぜていた。



男と別れてから、
虚しさ・悲しさが湧いた。
妻帯者だと割り切っていても温もりや恋しさなどはそれなりにあった。


下腹が熱くなり、
携帯を手に部屋をうろついたりもする。
もちろん連絡はしないのだが、
寂しい時間は波のように押し寄せる。


かと思うとストンと引いて、
「ああ、
寂しさなんて幻覚と同じかしらん」と妙に清々しく茶化してみたりしる。




33歳になると友人も2人目・3人目出産、
婚約の報告、再婚の報告など【大二次変化期】を迎えた者ばかりだ。

仕事に打ち込み生涯独身だと宣言してる子は、
それなりの地位と収入を得ている。

個人病院の医療事務をして安穏と生きているのは私くらいだ。

よって不倫の別れの後の虚しさなど、
訴える場所がない。言えば聴いてくれる友人は頭に浮かぶが、
かといってわざわざ連絡して泣くほど傷ついてもいない。


ただ、
自分から切り出したクセに妙にザラザラ残っている気持ち。





何なのかなぁと思っていたところ、
納豆を見て「この引き方じゃん」と思った。




じいぃーっと小粒納豆を見つめた。








糸を引きながら茶色い塊がもたつく。
もたつきながら、
ストンと落ちる………………。


間抜けといえば間抜け。
私は名残を納豆に喩えて一人うなずいていた。
/263ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ