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あいの向こう側
第15章 イトヲヒク
私のパールネックレスを持って行くと、

母親は「まぁ、あなたなかなか良いの持ってるじゃないの!
借りるわね」と満面の笑みを浮かべた。



そして決まったらスッキリしたらしく、
「もう良いわよ。
あたしは早めに寝るわね」と箪笥を元に戻し出す。













ふう、と息を吐き1階に降りる。




たまにだけれど、
私の結婚願望の無さは母親の影響じゃないかと思う。


母親のせいではなく。


母親は「いちばん上の先生」と交際していた時も、
全く女臭くなかった。

家庭に持ち込まなかったといえば聞こえは良いかもしれないが、
そうではない。

母親にとっては「恋人」は自分のポイントアップの踏み台に過ぎない。

アップしたら用済みで、
次へ行く。



だから女になり様がないのである。





10代の頃からそういう母親を見ていると、
「なるほど、男とはそういうアイテムなのだな」と頷けた。



パールのネックレスと大差ない。



私は受けた影響があったとしても悲観している訳じゃない。



20代の時には周りに倣って〔真剣な恋愛〕とやらをやってみた。
愛だとか思いやりを持った、生活に繋がる付き合い。


3年同棲した経験もある。

それでも「この人と家庭を作りたい」「子供を産み育てたい」「未来永劫いっしょに居たい」と思わなかった。

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